スポーツ整形外科医たこぼうBLOG

整形外科病院勤務、ときどきスポーツ現場でも活動するドクターのブログ

知っておきたいサプリメントのメリット・デメリット

サプリメントを使用したことのある方は多いと思います。今回は、薬との違いや、メリット・デメリットについて解説します。

 

サプリメントとは

日本では栄養補助食品や健康補助食品とも呼ばれており、なんらかの成分を摂取するために利用される錠剤やカプセル形態の製品のことです。見た目には薬とあまり変わらないものが多くあります。

実は、日本の法律では「サプリメント」を厳密に定義したものがありません。

特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品、栄養機能食品といったものが法律で定められており、世間一般の「サプリメント」の認識に近いのは栄養機能食品に当たります。

 

栄養機能食品は、食品衛生法に基づいて特定の成分に関して厚生労働省が指定した基準を満たしていれば表示可能となります。現在は20種類の成分が指定されており、カルシウム、カリウム亜鉛、鉄、ビタミン(A,B1,B2,B6,B12,C,D,E,K)、葉酸などが含まれます。

 

サプリメントのメリット

サプリメントを上手に使えば、普段不足してしまう栄養素を補充することができます。もちろん理想的にはバランスの良い食事をとって必要な栄養素を満たすことが望ましいですが、嗜好や生活習慣などでどうしても偏りが生じてしまいます。そのようなときに、不足分を補う手段として有効活用できれば、健康増進に寄与します。

 

サプリメントのデメリット

過剰摂取

例えばビタミンA、D、E、Kといった脂溶性ビタミンは比較的吸収が良く、体に蓄積されやすいという性質があります。不足していないのにこれらのビタミンサプリを使用すると、過剰摂取になってしまいます。ビタミンA過剰摂取では消化器症状や皮膚障害、脱毛などが生じ、ビタミンD過剰摂取では高カルシウム血症となり腎機能障害や神経症状が出ることがあります。

薬物相互作用

サプリメントとはいえ作用がありますので、ものによっては他の薬との相互作用が生じることがあります。有名なのはワルファリンとビタミンKの相互作用です。ワルファリンは抗凝固作用があり、血栓症の予防治療に用いられますが、ビタミンKはワルファリンの作用を弱めてしまいます。この効果を弱める作用は決して小さいものではありません。ワルファリン内服時の出血などで血を止めなければならないときのために、ビタミンK製剤が製造されているほどなのです。

予想外の成分の摂取

サプリメントは医師や薬剤師の目を通さずに、ある意味で気軽に入手できます。その分リスクもあり、特に海外のサプリメントではエフェドリン系が少量入っているものなども報告されています。エフェドリンはドーピングの禁止物質となっており、それらのサプリを知らずに使用すれば、ドーピング違反となります。

 

まとめ

サプリメントは上手く利用すれば役に立つが、下手に使うとトラブルのもとになる。

②自分に何が不足しているかを把握し、必要な分だけの利用にとどめるべきである。

③副作用があることを認識して使用しなければならない。

④ドーピング違反にならないために、添加物を含めて何が入っているかを知ったうえで使用するべきである。