スポーツ整形外科医たこぼうBLOG

整形外科病院勤務、ときどきスポーツ現場でも活動するドクターのブログ

大病院には紹介状を持っていくべき4つの理由 Part 2

前回は大きな病院を受診する際には必ず紹介状を持って行くべきである公式的な理由と、そうなった背景について記事にしました。

今回は公式的な理由以外に、現場で働く医師が感じている、紹介状を持参することをお勧めする理由について記事にします。

 前回の記事で書いた4つの理由をふり返ります

 

前回の記事はこちら

takobow.hatenablog.jp

 

医療機関の役割分担(公式的な理由)

②選定療養費がかからない

③初診でも専門医の予約を取得できることがある

④紹介患者として丁寧な診察を期待できる

 

②③④は公式的な理由ではなく、筆者個人が現場で働く医師として皆さんにお勧めする理由です。

 

選定療養について

今の医療では、基本的には医療機関に保険証を提出して、区分に応じて何割かの自己負担分を支払うということになっています。この保険対象の医療とは別に、並行して保険外併用療養費によるサービスを受けることができます。このサービスの中身はいくつにも分かれますが、その中の大きなジャンルの1つとして選定療養があります。

 

選定療養とは、厚生労働大臣が定めた通常以上の医療サービスを患者が自己選択にて保険外で受けることです。通常の治療分は保険対象となりますが、それ以上の部分については選定療養費として全額自己負担になります。

具体的には、入院の個室代、歯のインプラントを良いものにする差額、規定回数以上のリハビリ費用などがそれに当てはまります。200床以上の病院の初診に関しても選定療養となっていますが、そのうち特定機能病院・400床以上の地域医療支援病院においては、5000円以上の選定療養費を徴収することが義務化されています。つまり、大病院の初診では診察料や検査料以外に5000円以上も追加徴収されるのです。

ここで注意してほしいのは、5000円ではなく5000円以上と定められているので、8000円、1万円という病院も実際に存在するということです。結果として、診察を受けて薬を処方されただけでも1万円を超える窓口支払いとなることもあるのです。地域の診療所で診察と薬の処方を受けるだけなら2000円を超えないでしょう。

 

初診時の選定療養費は免除されることがある

初診に係る選定療養費には免除規定がいくつかあります。その中の一つが他の医療機関からの診療情報提供書(紹介状)の持参です。つまり、紹介状があれば、選定療養費の支払いは不要となるのです。診療情報提供書には作成料がかかりますが、健康保険の対象のため、3割負担の方でも750円から1350円程度で済みます。つまり、差額の数千円を節約できるのです。

緊急時は例外ですが、以前からある腰痛、関節痛といった慢性疾患や、高血圧、糖尿病などのいわゆる持病でいきなり大病院を受診することは経済的に大きなデメリットとなることがお分かりいただけたでしょうか。

 

次回の記事では、待ち時間や診察内容といった点について記載します。