スポーツ整形外科医たこぼうBLOG

整形外科病院勤務、ときどきスポーツ現場でも活動するドクターのブログ

大病院には紹介状を持っていくべき4つの理由 Part 3

このシリーズ3回目です。今回でシリーズ完了となります。

 

過去2回分の記事はこちら

takobow.hatenablog.jp

takobow.hatenablog.jp

 

 まずは4つの理由について振り返りましょう。

医療機関の役割分担(公式的な理由)

②選定療養費がかからない

③初診でも専門医の予約を取得できることがある

④紹介患者として丁寧な診察を期待できる

①と②はこれまでの記事で詳しく書きました。今回は③と④について書いていきます。

 

診療所から地域連携枠で予約が可能

大病院では患者本人からの電話やネットでの予約は受け付けていないところが多いです。筆者の病院でも患者自身での予約取得はできず、基本的に診察の際に次回の予約も取得して帰宅してもらっています。しかし、当院を含めてそのような病院でも「地域連携予約枠」という枠を設けて他の医療機関からの紹介の患者に関しては事前予約を受け付けているケースが多くあります。

具体的には、近隣の医療機関から紹介状とともに受診希望病院の窓口(多くは地域連携室)に予約希望の旨を連絡し、その窓口を通じて予約枠を取得するというものです。そうすることで、患者さんは大病院の予約を取得でき、診察する側の医師も事前に紹介状を確認してどんな患者さんが受診するか調べておくことができるという双方のメリットがあります。

 

また、予約枠を取得する際に、患者さんが受診すべき専門医に直接紹介してもらえることが多いです。

現在の医療は専門化が進み、一つの診療科の中でもさらにサブスペシャリティーが分かれています。例えば消化器外科の中で肝臓担当、大腸担当、食道担当などがあり、整形外科の中では膝関節担当、脊椎担当、手担当などに分かれています。

地域連携枠で受信する場合、患者さんの状態に合わせて適切な専門医の枠をあらかじめ取得してもらえることが多いので、病院の中でたらいまわしにされる可能性も低くなるのです。

 

紹介受診することでスムーズで詳細な診察を受けられる

事前情報があることによってスムーズに診察ができますので、④に書いた丁寧な診察を期待できます。大病院では限られた時間で非常に多くの患者さんを診察しますので、一人当たりに使える時間はどうしても少なくなります。その中で、事前に紹介状を送っておいていただければ、事前情報が把握できている分だけ時間を節約でき、患者さんの問診や診察に時間を割くことができるのです。

 

このように、紹介状を持参することは多くのメリットがあります。

一見、地域の診療所を経由するのは面倒に感じますが、総合的に見れば待ち時間を短縮でき、お金も安くなり、丁寧な診察にもつながるのです。もちろん、救急、緊急の際はこの通りとはなりませんが、普段の受診方法の参考にしてもらえればと思います。