スポーツ整形外科医たこぼうBLOG

整形外科病院勤務、ときどきスポーツ現場でも活動するドクターのブログ

スポーツドクターの資格となり方

筆者はスポーツドクターとしての活動を少しづつ拡大しているところですので、今回はスポーツドクターの資格となり方についてまとめてみました。

 

日本のスポーツドクター資格として主要なものは

この3種類があります。これらはよく似た資格ですが、資格取得条件や方法、認定する団体が異なります。いずれも必要な講習会をすべて受けることによって認定を得られます。

 

日本医師会認定健康スポーツ医

その名の通り、日本医師会により認定される資格です。医師であれば誰でも(研修医も含む)講習会を受講可能です。医師会の会員でなくとも受講可能ですが、非会員の受講料は高めに設定されています。

講習会は1回2日間で年に2回、合計4日間の受講で取得できます。また、日本整形外科学会認定スポーツ医または日本スポーツ協会公認スポーツドクターの有資格者と、それらの講習会の必要項目を受講していれば申請のみで資格取得できます。

3種類の中で取得までのハードルが最も低く、資格を持っている医師数も圧倒的に多い(2万人以上)です。

 

日本整形外科学会認定スポーツ医

この資格はスポーツ協会の公認ドクターよりも保有者数は多いですが、医師会のものよりはるかにハードルが高いです。その理由は、講習会受講資格が「整形外科専門医」に限られていることにあります。つまり、内科や救急科など整形外科以外の診療科の医師は取得できないのです。それでも5000人程度の医師がこの資格を保有しています。

講習会は総論が3日間で、総論満了者は各論にすすんで2日間、合計5日間の講習で取得できます。ただし、総論と各論はそれぞれ隔年開催のため、基本的には取得まで最短で2年かかります。ただし、スポーツ協会または医師会の資格を持っているなど条件を満たせば、総論の免除を受けることができます。

 

③日本スポーツ協会公認スポーツドクター

受講までのハードルは最も高いです。なぜなら、「競技団体または都道府県のスポーツ協会からの推薦が必要」だからです。診療科の制約はないため希望者が多く、コネクションがなければなかなか推薦を得るところまでたどり着けません。

受講内容は基礎科目が2日間*年に2回、応用科目は2日間*年3回の合計10日間受講となり、3つの資格の中では最も講習日数が長いです。整形外科学会の資格と同様、条件を満たせば基礎科目が免除となることもあります。

 

 

スポーツドクターとして活動するにあたって、最も取得しておきたい資格はやはりスポーツ協会の公認ドクターです。一部の団体では帯同/会場ドクターはこの資格を持っている医師に限って依頼をしていることがあります。個人的な印象としては、行政がらみのスポーツ案件でこの傾向が強いようです。さらに取得する時点である程度競技団体や都道府県の協会とのつながりを得られていることが多く、実際の活動に直結しやすいのです。

 

原則的にはスポーツドクターとして活動するのにこれらの資格は必須ではありません。医師免許さえあればできます。しかし、先ほどのように有資格者のみに依頼をかけていることもあるので注意が必要です。

また、資格を取得する過程において確実に自分の知見を広げることができます。スポーツ現場では病院での医療とは設備や環境を含めて全く状況が異なりますので、スポーツ医学をきちんと勉強し、取得できる資格はとっておいたほうがよいでしょう。

 

スポーツ現場の実際についてはまたあらためて記事にします。